岡山県立大学 滝本 裕則

専 門 分 野

画像処理,知覚情報処理

研 究 内 容

■視線分析と視覚的顕著性に基づく注視誘導による新たな生活支援基盤の実現

■高齢者や障害者に優しいバリアフリー社会実現に向けた,生体信号・画像処理システムの開発
 ・手話や指文字認識システム構築に向けた三次元特徴に基づく姿勢変動に頑健な手指形状推定法
 ・個人特性モデルに基づくユビキタス時代に即した色覚特性者のためのカラー画像の色補正技術

■視知覚特性に基づく画像処理技術の開発
 ・空間周波数特性を利用した視認困難な印刷型キャリブレーションパターン

■環境変動にロバストな顔画像を用いた個人属性情報推定の自動化
 ・姿勢変動に頑健な顔画像からの性別、年齢推定
 ・年齢知覚に基づく顔画像からの外観年齢特徴の抽出と推定

JKA補助事業 研究成果

本研究は,公益財団法人JKA 2025年度 研究補助(個別研究,Project No. 2025M-407)の補助を受けて実施しました。
競輪とオートレースの補助事業 競輪とオートレースの補助事業


■ 誘目性・自然性を考慮した色識別性向上のための色補正評価アルゴリズムの確立

■ 研究概要 ■
 色覚異常者や高齢者が日常生活において色の識別に困難を抱えている現状を踏まえ,色覚異常者に特化した視覚的顕著性マップ推定技術の開発に取り組みました。人間の視覚システムには,周囲と際立って異なる特徴を持つ領域へ無意識に視線が引きつけられる視覚的顕著性という特性がありますが,色覚異常者と正常色覚者では色の見え方が異なるため,視覚的顕著性マップも異なります。

 本研究では,色覚異常者の顕著性データセット(EToCVDデータセット,101枚)という極めて少量のデータに対し,転移学習によるFine-tuning及びデータ拡張を組み合わせたFew-Shot Learningを適用しました。深層学習モデルとして,CNNベースのMLNet及びMSINetと,TransformerベースのTranSalNetの3種類を採用し,データ拡張手法を単体または複合的に組み合わせて検証しました。その結果,MSINetにデータ拡張としてHorizontal Flipを適用することで,正常色覚者・D型・P型の全色覚タイプにおいて最も高い推定精度を達成しました。

 また,色補正後の画像が不自然にならないよう,画像の審美的品質を向上させる技術の開発にも取り組みました。NICERフレームワークにおいて汎用審美性モデルが引き起こす不自然な色変換の問題を特定し,色審美性評価モデル(Image Color Aesthetic Assessment model)を統合することで,色の調和を考慮した画像補正を実現する手法を提案しました。被験者23名による主観評価実験の結果,提案手法が原画像および全ての比較手法を有意に上回る評価を得ました。

■ 関連論文 ■
  • T. Nakagama, K. Koike, and H. Takimoto, "Enhancing Image Aesthetic Quality using Deep Learning Based on Image Color Aesthetics Assessment," Proc. The 14th International Conference on Intelligent Control and Information Processing (ICICIP), Feb. 2026.


■ Encoder-Decoder型の深層学習モデルに基づく色補正技術の開発

■ 研究概要 ■
 従来の画像再配色技術は「色の区別がつくこと(識別性)」に主眼を置いていましたが,再配色処理によって本来目立つべき領域の視覚的顕著性が低下するリスクが見過ごされてきました。道路標識や緊急速報などの警告情報は,この視覚的顕著性を利用して目立つように設計されているため,識別性の向上と視覚的顕著性の維持を両立することが極めて重要です。

 本研究では,Swin Transformerを用いたEncoder-Decoder型の再配色モデル(CVD-Swinモデル)を基盤とし,視覚的顕著性の一貫性を考慮した新たな色覚異常者のための画像再配色技術を開発しました。具体的には,CVD-Swinモデルの学習プロセスに顕著性推定モデル(TranSalNet)を統合し,既存のコントラスト損失と自然さ損失に加え,新たに顕著性損失を設計しました。顕著性損失として,画素単位での厳密な一致を目的としたSaliency L1 lossと,視覚的顕著性の分布特性を多角的に捉えるSaliency composite lossの2種類を設計し,その有効性を検証しました。

 80,000枚の学習用画像と10,000枚の評価用画像を用いた実験の結果,提案手法は既存手法と比較して視覚的顕著性の一貫性が向上し,さらに色の識別性を示すTCC指標においても既存手法を上回る性能を達成しました。本技術により,識別性・自然性・誘目性の3要素を同時に満足する色補正が実現可能となりました。

発表スライド:視覚的顕著性の一貫性を考慮した色覚異常のための画像再配色

PDFを表示できません。こちらからダウンロードしてください。


■ 関連論文 ■
  • 中釜 匠海,西川 結彩,田中 祐成,小池 和輝,滝本 裕則: ``視覚的顕著性の一貫性を考慮した色覚異常のための画像再配色'', 電気学会 知覚情報/次世代産業システム合同研究会,PI-26-023 / IIS-26-037, pp.31-34 (2026.3)
  • 中釜 匠海, 西川 結彩, 小池 和輝, 滝本 裕則: ``色覚異常者のための視覚的顕著性の一貫性を考慮した画像再配色'', 日本福祉工学会 第29回学術講演会 講演論文集, pp. 83-84 (2025.11)

なお,本研究は公益財団法人JKAの2025年度 研究補助(競輪とオートレースの補助事業,Project No. 2025M-407)を受けて実施しました。

Copyright (C) Takimoto Web. All Rights Reserved.

ホームページテンプレートのpondt